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セラミック溶射ライナ
耐摩耗性および耐焼付性の向上を目的として、シリンダライナ内周面のしゅう動部に、セラミック溶射を施工したライナを採用することとした。ライナに適する溶射皮膜を選定するために、ライナ材の表面に各種セラミヅク溶射を施した試験片を製作し、これについてライナとピストンリングの関係に近い、往復動摩耗試験機による摩耗試験および熱衝撃試験などを実施した。
選定試験の結果、ホウ化物系の溶射皮膜が、最も良好であったため、この皮膜を溶射したセラミック溶射ライナを製作した。(図75、76)
エンジン試験後のセラミック溶射ライナには、剥離などの異常は観察されず、問題ないことを確認した。
長期的な経過観察が今後の課題と考えられる。

 

ファイヤリング
ピストンのトップランド部に硬質カーボンが堆積すると、これによるシリンダライナの偏摩耗や鏡面化が生じ、潤滑油消費量が増加する。
硬質カーボンの付着防止のため、ライナの上部にファイヤリングを装着し、エンジン試験を実施した。
この結果、トップランド相当部への硬質カーボンの堆積は明らかに少なく、潤滑油消費量も1.0g/PShから0.6g/PShに約40%減少し、有効性を確認した。(図77、78)

 

3.9 クランクケース

プロトタイプエンジンの軽量化を進めるため、各部品の形状・材質について検討を行う必要がある。
特にクランクケースは、エンジンの総重量に占める割合が大きいため、材質を従来の片状黒鉛鋳鉄からより高強度の材質に変更することを検討するとともに、FEM解析により肉厚の減少を図った。

 

 

 

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